気胸という針治療で呼吸が苦しくなる事故について
「頭痛と肩凝りで、体の深いところが凝ってると言われたから深く刺して欲しい。」
お客様のご要望にはできるだけ応えたいところですが、肩への針を深く刺すのはやんわりとお断りして「浅く広い範囲に針をした後ストレッチでほぐれますよ。」と代わりの方法を提案することがあります。
なぜ深く刺すのをお断りするかというと、体に深く針を刺してしまうと「気胸(ききょう)」という肺に穴をあけてしまう事故につながりかねません。
これは数時間安静にしていれば治ることがほとんどですが、たまに回復せず症状が悪化することもあります。
学校で習った気胸の処置
20年近く前に学校で習った気胸への対処法は「3~4時間ほど安静にしていれば治る」というものでした。
ほとんどの場合はこれで治るのでしょう。
そして病院へ行ったとしても「安静にして回復を待つ」という処置をされるかと思われます。
なので「安静にする」という処置自体が間違っているわけではありません。
ただ、安静にしているうちに症状が悪化した場合、鍼灸院でとれる処置は限られています。
なので胸が苦しいとか呼吸しずらいと感じたら、とりあえず病院に行っておきましょう。
はり師免許を持たずに針をする治療家の存在
ごく稀に、はり師の資格を持たずに針治療をする整体師がおります。
針自体は楽天など通販で買えますから、患者さんに頼まれてやってしまうのでしょうね。
鍼灸学校では気胸の事故や症状について詳しく学びますが、整体師は体のことを知らなくてもできる仕事なだけに、気胸を起こされる可能性があります。
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当院で気を付けている気胸対策
鍼灸院くらさろで針刺し事故について
- 肩に刺す針は斜めに刺して肺に刺さらないよう気を付ける。
- 全体的に深く刺しすぎない。
この2点には気を付けています。
お客様にとっては60分5000円という高額な治療費を払うのですから「強い刺激でガッツリほぐしてほしい」「深く刺してインナーマッスルをほぐして欲しい」と思われる気持ちは充分に理解しています。
しかし、治すことと同じだけ安全面にも配慮するので、刺激量について物足りないと思われる方は、鍼灸刺激の深さや強さではなく長時間の施術を希望していただけると助かります。