鍼灸院くらさろ跡地

次がんばるぞー


東洋医学には、解剖しても出てこない臓器がある

とうとう正月休みも終わり仕事に取り掛からねばならぬときがきました。お正月は楽しく過ごせましたか?美味しいものはしっかり食べましたか?

 

長期休暇で酒がうまい。そんなときの表現「五臓六腑に酒がしみわたる」なんて言いますね。では、五臓六腑とは何でしょう?

 

臓と腑の違い

 

臓は、中身が詰まっていることで正常な状態の臓器を指します。

肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓。どれも中身が詰まっていて、血液やら水やらが常に流れています。途切れると困ってしまいます。

 

肺は空っぽだと思われるでしょうが、これは「天の気」が詰まっているといえます。簡単に言うと空気ですね。空気そのものを扱う器官だから、中身が詰まっている臓として扱います。

 

腑は、中身が空っぽが正常な状態の臓器を指します。

胆、小腸、胃、大腸、膀胱。基本的には、何かよそから入ってきて、それをどこか違うところに移す。そんな役割をしています。移し終わったあとは空っぽ。これが腑です。

 

解剖ではわからない「腑」

さて、五臓六腑とは言いますが、「胆、小腸、胃、大腸、膀胱」で5つ。

あとひとつ足りませんね。 それが「三焦(さんしょう)」という腑です。この腑は、「上焦、中焦、下焦」にわかれているのですが、基本的な働きは「水や気の通り道」ということになっています。とはいえ、リンパともまた違っていて「体のすきま」を表現しているのだという説があります。

f:id:cloudsalon:20160106014627j:plain

中国古典では、「なにもない」を大事にする。

老子の教えの中で「もし家の中身が詰まっていては、家としての役割を果たさないだろう。家の中は空洞だから役に立つ」みたいな話があります。

このように虚(なにもない)を尊ぶ教えが根底にあるため、三焦という形の無い腑は、東洋医学でやたらと大事にされ神秘的に扱われます。

 

「とりあえずビール」みたいな扱いを受ける三焦

三焦は特定の臓腑でもなく、あらゆる場所に存在するものとして扱うので、治療方針で困ったときは、「とりあえず三焦治療してみようかな」という感じで使うこともあります。

三焦治療をしていると、むくみがとれたり、ツボの位置がはっきりわかるようになる場合も多く、全体の気がぼやーっと淀んだ状態から、澄んだ体へと変化します。こういう状態から治療に入ると、治療がうまくいくことも多いのです。

 

何もない「虚」を大事にするかどうかのポイントが、現代医学と東洋医学の大きな違いの一つですね。