東洋医学で考える冬の腰痛と春の腰痛
えーー「暑さ寒さも彼岸まで。」なんて言いますが、札幌はちらほらと雪の降る日もありまして、北海道に限って言うなら暑さ寒さの区切りはゴールデンウィークとシルバーウィークにしたほうがよろしゅうございますな。
さて、冬から春へと移り変わるお彼岸の時期は「冬季うつ」「寒暖差疲労」という冬の疲れや不調が軽くなる一方で、快活過ぎて春の陽気による高揚感を制御できず、他人に迷惑をかけたり事件を起こしてしまう人もいます。
こうした気候の変化による体への影響を東洋医学では「気」という概念で説明します。
気の変化は精神だけでなく肉体にも大きな影響をおよぼし、冬の腰痛が楽になる人がいるかと思えば春に腰痛を患う人もいます。
冬の腰痛
東洋医学では冬をノンビリ過ごすことを良しとしており、睡眠時間も長めに取るよう推奨しています。
それなのに現代は、朝から雪かきさせられたり道路は道幅狭くなって渋滞が当たり前。
むしろ夏より動かされますよね💦
老子という中国古典の一節では「冬に種を撒いて頑張っても芽は出ないけど、春に種撒けば何もしなくても勝手に芽が出る、だから冬は動いても無駄。休め」みたいな話をしています。
ところが現代はハウス栽培とか灯油のおかげで冬も植物を作れる時代。
自然に逆らって働かされますから、そりゃあ体はしんどくなりますよ。
こうして「身も心も無理やり動かされてしまう」ということで腰痛を引き起こします。
しかも冬の寒さによる腰痛原因は「寒邪(かんじゃ)」という気が鋭く腰に入ってくるので、患ったら症状を長引かせる性質を持っています。
冬の腰痛はしんどくて長引く。つら過ぎますね💦
春の腰痛
春になると活動的な気持ちになれるし体もほぐれて動きやすくなりますが、同時に「怒り」という気のエネルギーも増えてしまいます。
この怒りや有り余る気力によって急激に体を動かすと腰痛を引き起こします。
この場合の腰痛原因は「風邪(ふうじゃ)」といい、腰痛なのにジッとしていられず体をもぞもぞ動かさざるを得なかったり、痛みの箇所があちこちに移るような性質を持っています。
痛いのに居ても立ってもいられない、どうしようもない感覚は泣きたくなりますね。
冬の腰痛は腎の気を補い、春の腰痛は肝の気を削る
気というのは過不足なく適正に流れているのが良い状態です。
秋から冬にかけて気は消えて固まるので、冬の腰痛は腎の気を補う治療法を多く用います。
一方で春は気が大きく動き有り余る量が体中を溢れるので、気を削る治療を行います。
「腰痛」と言っても季節によって治療法を変えるところが東洋医学の面白いところです✨
腰痛の治療内容は人それぞれ
さて、ここまでは大雑把に「冬の腰痛」「春の腰痛」と分けて話しましたが、実際には腰痛患者さんそれぞれに合わせた治療します。
- 六因:気候や環境。暑いとか寒い、風が強い、湿度
- 七情:感情のありかた。怒りっぽい、悲しみが深い、悩むなど。
- その他:事故、転んで尻もちついたなどの外傷
針灸師は患者さんの生活習慣など個別な事情も考慮して治療にあたります。
しかも東洋医学を重視する鍼灸師だけでなく、神経系や筋肉および筋膜から考えて治療をする鍼灸師まで、治療方法は様々です。
せっかく針灸治療を受けるなら、SNSやブログなどで気の合いそうな鍼灸師さんを見つけて治療にかかってみてはいかがでしょうか。
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