鍼灸院くらさろ跡地

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巨人・沢村投手が針治療で長胸神経まひ。私たちが治療によってケガをさせられた場合の対処法

沢村投手の不調が針治療による長胸神経麻痺である可能性について報じられた。僕も鍼灸師なので、この件によって自分が生業としている鍼灸治療というものの危険性について改めて思い知らされる。

一方で針治療だけでなく他の治療法でも当然事故は起こりうるので、治療院やマッサージ店にかかっている人は治療によって体が不調になったときのことを考えて欲しい。

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沢村は2月の沖縄キャンプ中に右肩に異変を感じ、同27日に球団トレーナーのはり治療を受けた。長期間症状が改善しないため球団が調査した結果、この日までに複数の医師から「長胸(ちょうきょう)神経麻痺(まひ)」と診断され、「外的要因によるもので、はり治療によって長胸神経麻痺となり、前鋸(ぜんきょ)筋機能障害を引き起こした可能性が考えられる」との所見を得たという。

治療院選びで重要なポイント

ファッション感覚のマッサージ店や民間資格の治療院、国家資格の治療院などが乱立する中で、万が一のことを考えた治療院選びはどうすれば良いのかを考えてみた。

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  1. ちょっと疲れを取りたいとか、ソフトな手技を希望するならファッション感覚のリフレクソロジーやタイ式マッサージ店でもかまわないが、強揉みの希望や肩こり腰痛の改善など治療を目的とするなら保険に加入している治療院を選ぶ。
  2. 国家資格所持者以外の施術を受けるときの安心できるポイントは、病気や治療のことを話さない人。例えばツボの説明をするとき「腰痛治療に効果のあるツボ」とは言わず「腰の疲れが楽になるツボ」というように「治療じゃなくて疲れを楽にする」という風な言い回しに直すのは、法律に気を付けている人と考えられる。ヘルニアや五十肩の話を振っても「それは辛いですね。」と共感を示す程度に留まって、無理に治そうとしない人が良い。
  3. 首や腰などの骨を鳴らす施術を強く希望するなら、マヒで動けなくなってしまうことを覚悟して、預貯金や自分が入っている生命保険について家族に話しておき、自分の体が家族のお荷物になっても良いようにしておく。
  4. 治療による体調悪化について治療者に相談したとき「身体から毒素が出ているので数日体調悪くなりますが、その後は回復に向かいますよ」と自己弁護したり、「値段は高くなるけれど、より効果の高い治療法」など深みにはまる治療法を勧める人の所には二度と行かない。好転反応は治療家の言い訳でしかない。

 

1回の治療で完治を希望するのは危険

治療家の多くは細心の注意を払って治療にあたっている。けれどミスは避けられない。僕自身、自分の太ももに針を刺したとき筋肉が固まって足が動かなくなってしまったこともある。自分の体ですらこんなことが起こるのだから、他人の体に針を刺すのは尚更難しい。そんな理由から僕は初めての患者さんに治療するとき、弱刺激から始めて雰囲気を見ながら徐々に刺激を強めてゆく。自分の実力を過信して無理なことはしない。

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一発で治してもらいたい。そういう患者さんの気持ちはよく分かる。煌びやかな実績を誇る治療院を探し「数回の治療でどんな症状も治ります!」と書いてある所に行きたくなる。しかし数回程度の治療で改善にこだわると刺激が強すぎて逆に身体が悪くなる可能性もあるのだから、治療は長期目線で臨んでほしい。 

東洋医学は魔法じゃないし、たった1回の治療で奇跡を起こす治療家だって失敗することがある。癒し系マッサージ以外の治療にかかるなら、せめて保険に加入しているかどうかを尋ねるくらいはしておいたほうが良い。

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